相続財産調査を専門家に依頼するメリット
1 相続財産調査には専門性が要求されることも
相続手続きにおいて、最初に行うべき重要な工程の1つが相続財産調査です。
しかし、相続財産調査は単なる財産のリストアップにとどまらず、調査の範囲、方法、法的リスクの検討など、想像より高い専門性が要求されます。
ここでは、専門家(税理士・行政書士・司法書士・弁護士)に財産調査を依頼するメリットを、実務的な観点から詳しく解説します。
2 漏れのない財産把握ができる
相続財産調査を専門家に依頼する最大のメリットは、財産の漏れを防げることです。
相続財産には、預貯金・不動産・株式・生命保険金のほか、最近では暗号資産(仮想通貨)やネット銀行口座など多種多様なものがあり、財産調査に慣れていない方だと漏れが出る項目が増えています。
特に、過去に取引したまま放置された証券口座、ネット銀行、外貨預金、FX・暗号資産取引所のアカウント、契約者と被保険者が異なる生命保険等に漏れが生じやすいです。
また、相続ではプラスの財産だけでなく、借金や未払い税金などの債務の調査も必要不可欠です。
クレジットカードのリボ残高、未払いの医療費や施設利用料、固定資産税の未納、事業をしていた場合の営業上の負債等といった債務を確認する必要があります。
専門家であれば、金融機関や役所への照会、信用情報機関の照会に慣れており、調査の抜け漏れを防ぎ、正確な相続財産のリストを作成できます。
3 相続税の申告漏れリスク
相続税では申告漏れが起こりやすいと言われています。
実際、税務調査では、毎年多くの相続案件で財産漏れが指摘されています。
特に、名義預金(相続人名義だが実質は被相続人の管理下にある預金)、過去の贈与、保険料負担者が契約者と異なる場合の生命保険といった財産で注意が必要となります。
税理士は、相続税申告との関係で、財産調査の漏れを少なくすることができます。
4 相続財産調査に必要な手続きや書類の準備
財産調査には、次のような煩雑な作業が伴います。
例えば、過去の戸籍や除籍の取り寄せ、銀行ごとの残高証明と取引履歴の取得、証券会社ごとの残高証明と取引履歴の取得、不動産の登記事項証明書や固定資産税評価証明書の取得、生命保険会社への問い合わせ、税務署での過去の申告履歴の確認などです。
相続人自身がこれを行うと、1つの銀行に足を運ぶだけで数時間消費しますし、慣れておらず書類に不足があると、何度も行かないといけない場合もあります。
特に、平日に役所や銀行に行く必要があることは、働いている相続人や遠方に住んでいる相続人にとっては大きな負担となります。
専門家に依頼すれば、これらの多くを任せられるため、相続人は自身の生活や仕事に専念できます。
また、相続は心の整理がつかない時期に手続きを進めなければならないため、精神的なサポートとしても大きな意味があります。
相続財産調査を専門家に依頼すれば、時間的にも、体力的にも、精神的にも、相続人は最小限の負担で調査を進められます。
5 相続人間のトラブルの事前防止
相続におけるトラブルの原因として、財産の全体像が分からない、相続人の中に疑念を抱く人が出てくるというものが挙げられます。
「本当に全部の財産を調べたのか?」「他の兄弟姉妹がどこかに預金を隠しているのでは?」「生前に贈与を受けていたのでは?」といった不信感は、相続の場面では非常に起こりやすいものです。
しかし、第三者である専門家が財産調査を行うことで、一定の中立性が保たれますし、相続人全員に結果を公平に共有できるので、手続きの透明性が担保されます。
つまり、専門家の関与は相続人間の心理的な安心につながり、不要な争いを未然に防ぐ効果があります。
6 コストパフォーマンス
一見、自分で調査すれば費用がかからないように見えますが、時間の消費、調査漏れによる税務リスク、遺産分割トラブルのリスク、慣れていないことによる書類の再取得の手間等を考えると専門家に依頼するメリットは費用以上に大きいことが多いです。
特に相続税申告が必要な場合、財産調査の精度が申告の成否を左右するため、結果的には専門家への依頼が最も合理的な選択になります。
相続は一生のうちに多くても数回しか経験しない複雑な手続きです。
だからこそ、専門家に依頼することをおすすめします。






























